「終活」という言葉は2009年ころに生まれたとされており、今ではずいぶんと世間に定着してきました。
そして終活を行うにあたり、非常に有効なツールといえるのが終活ノート(エンディングノート)です。
終活を意識されている方の中には「終活ノートを書いてみたいけれどやり方がわからない」という方もいるかもしれません。
しかし実際に取り組んでみるととても簡単で、非常に便利です。
ここでは終活ノートに取り組もうという方に向け、ノートの選び方や書き方などを解説します。
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終活ノートは「いざ」という時に備え、自分に関する情報や考え方などを、家族や周囲の人に伝えるためのツールです。
書く内容はとくに決まりはなく、書く項目も自分で自由に決めることができます。
形式にこだわらずに「自分の想い」を伝えられるのが特徴であり、メリットであるといえるでしょう。
また利用者の中には葬儀の具体的な指示や、利用しているネットサービスのID/PASSを書いている人もいます。
これらの情報は納得できるまで、何度でも書き直すことが可能です。
「周囲の人々に想いを伝える」と聞くと、遺言状を思い出す方もいるかもしれません。
しかし終活ノートと遺言状とでは、その役割は大きく異なります。
終活ノート | 遺言状 | |
---|---|---|
法的効力 | ない | ある |
遺産分割や相続の手続き | できない | できる |
医療や介護など生前の希望 | 書ける | 書けない |
家族や友人へのメッセージ | 自由に書ける | 書けるが限定的 |
一番の違いとなるのは、終活ノートには法的効力がないこと。
遺言状は人の生前における、最終的な意思表示。
民法に定める方式に従うことで、法律上の効力をもちます。
つまりもし終活ノートに遺産の分割方法を書いておいても、死後に実現されないケースもあるので注意が必要です。
終活ノートとひとくちにいっても、今やさまざまな種類が存在ます。
そこで選ぶ基準やオススメのノートに関し、まとめました。
紙のノートに手書きで書くのに加え、パソコンから入力して書くという方法もあります。
パソコンからノートを書く場合、書き直しが楽だったり印刷して紙にもできるというメリットが。
一方で故障により保存データが消えるというリスクもあるので、保存方法には注意を払いましょう。
最近はネットを活用した、無料の終活ノートも誕生しました。
紙のノートでも自治体が作成し、市役所の窓口などで配るケースもあります。
また有料でも100円のノートを使って、自分の好きなフォーマットで作成するのもよいですね。
それぞれの終活ノートは書く項目がすでに決まっており、ノートに従って枠を埋めるというものが多いです。
そこで本屋や文房具屋などに行き、ノートを手に取ってどんな形式になっているか比べてみるのもよいでしょう。
説明やガイドが充実しているノートもあるので、基本から知りたいという方向けのもあります。
終活ノートはずっと手元にあるものなので、手書きの場合は「書きやすさ」の観点から選んでみるのもよいです。
たとえば紙質。光沢のあるタイプの紙の場合、見栄えはよくても書きずらいというケースも。
装丁にも同じことがいえますね。ハードカバーだと、押さえておかないと閉じてしまうなど使いづらかったりします。
自分が利用してしっくりくるノートを、選んでみましょう。
コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート B5 LES-E101
終活ノートブームの火付け役ともいえ、ベストセラーになりました。
初心者にもわかりやすい構成で、基本的な項目がほぼ網羅されています。
CD-Rも付いていて、思い出の写真や音声データの保存も可能。
終活カウンセラー協会が提供している、オリジナルノート。
一般利用者の声を参考にし、使いやすさにこだわっています。
文字の大きさや記入スペース、白内障の方でも見やすいカラーなど細部にわたり徹底。
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各自治体が無料で提供していますが、その中でも堺市南区役所が作成したノートは見やすく使いやすいです。
もちろん堺市以外の方でも自由に使えます。
ダウンロードの後、プリントアウトして手書きで記入する形式。
司法書士法人が作成。簡単な書き方についての記載もある。
終活ノートの簡易版といった感じだが、基本的な項目は揃っています。
こちらもダウンロードの後、プリントアウトして手書きで記入。
大切な家族に向け、自分の大切な想いを写真や動画として残すスマートフォン向けアプリ。
動画メッセージ、フォトアルバム、エンディングノートの3つの機能が付いています。
iphoneとandroidの両方に対応しています。
終活ノートにどのような内容を書くことで、より便利で役に立つツールになるのでしょうか?
ここでは記載すると便利な項目を紹介します。
ご家族や周囲がすぐに確認しやすいように、基本的な個人情報はすべて記載しましょう。
また知人・友人にすぐに連絡ができるよう、連作先シートの準備も必須です。
・自分の名前・生年月日・血液型・住所・電話番号・本籍地など
・家族の名前・続柄・生年月日・命日(故人の場合)・住所・電話番号・本籍地など
・友人や知人の名前・関係・住所・電話番号など
・自分の経歴(年は和暦・西暦両方を記載)
・働いている人は勤務先の所属部署・役職名・勤務先住所・電話番号など
・葬儀に呼んで欲しい人の連絡先シート
・お気に入りの写真
死後にご家族の方が銀行口座から引き出せないということがないように、暗証番号などを記載しておきます。負債があればもちろん書いておきます。
ご自身の資産状況に合わせて、抜けがないように注意しましょう。
・預貯金・証券など
・口座自動引き落とし(月払い・年払い)
・不動産(不動産登記権利情報の保管場所)
・保険(保険会社と担当者・連絡先)
・クレジットカードなど
利用しているネットサービス関連のIDやパスワードを記入。
また関連機器の処分についても、指示をしておくべきです。
・デジタル製品のパスワードや対応(パソコン・スマホ・プリンターなど)
・クラウドサービスのID/PASS(グーグルドライブなど)
・ネットサービスのID/PASSや対応(ツイッター・ブログ・アマゾンなど)
医療や葬儀のほかにも、お墓や遺言に関する情報も記入します。
余命告知や延命治療に関する希望についても、希望を出しておくことで家族の負担が減ります。
・医療(かかりつけの病院・担当医師・常用している薬など)
・終末医療(余命告知・延命措置・臓器提供・献体の希望)
・介護(現状受けているサービス・介護をしてほしい人・費用など)
・葬儀(生前契約の有無・内容の希望・費用・宗教や戒名の希望)
・遺言書の作成日と保管場所
・遺品の場所と処分方法(美術品・絵画・骨董品など)
・お墓についての希望
自分の思い出や家族に伝えておきたいこと、大切な人へのメッセージを記載します。
またペットを飼っている方は、ペットの扱いに関する今後の希望も伝えておきましょう。
・自分の好きなことや伝えておきたいこと(名前の由来・好きな食べ物や花・憧れの人など)
・私の思い出(思い出の写真とそれに付随する思い出をコメント付きで)
・大切な人へのメッセージ
・自分へのメッセージ
・その他メモ(ペットの扱いや家紋など自由に)
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終活ノートの書き方に決まりはなく、自由です。
ただし下記の注意点は必ず守るようにしましょう。トラブルのもとになってしまいます。
先述しましたが終活ノートに法的効力はありません。
遺産相続に関する内容を終活ノートに書き、それが遺言の内容との矛盾があれば容易にトラブルになりえます。
また法的に解決できたとしても、不利益と感じた者は心理的なわだかまりが残ってしまうでしょう。
「終活ノートは気持ちを伝えるツール」という原則を忘れてはいけません。
「誰かに見られると恥ずかしい」からと家族に隠して所持していたら、存在意義がありません。
もしものために、保管場所くらいは共有しておくようにしましょう。
またパソコンで管理している場合は、とくに注意が必要です。
万が一データが消えても大丈夫なようにクラウドサービスに保管したり、USBメモリに残しておくなどしてきましょう。
パソコンのパスワードも伝えておくとよいですね。
終活ノートを書いた後に状況が変わってしまうというケースは、当然起こります。
そんな変化に対応しておくため、定期的にノートを見直しておくことがおススメです。
とくに医療関係など、古い情報のままだと無用なトラブルに発展するリスクがあります。
ご自身の人生の総括と、これからも残る家族へ想いを伝える手段として、終活ノートは非常に有益です。
ご自身が生きた証として、ぜひあなただけのノートを作るようにしましょう。
一度整理をしておくことで、今後もより充実した日々を暮らすよいきっかけになるのです。
また利用していない方は、この機会にぜひ取り組んでみてください。
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